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「芋川用水の自然」七里十九町の知恵と恵み

「芋川用水の自然」七里十九町の知恵と恵み

「〜飯縄山麓発〜白地図を夢色に」白地図をぬろう会/編著 より

芋川用水の総延長は「七里十九町」(一里=4キロ、一町=60間、一間=1.8メートル)あります。取り入れ口から入った水は、鳥居川やJR信越本線に沿って南下し「等高線上」を巡る方式でつくられており、この用水が本格的な測量と人々の知恵により施工されたことが分かります。
取り入れ口には「頭首石」と呼ばれる人工の導水路が設けられ、水量の多少による水争いを防止するために、その下流の水路中央には、水量が目で見てすぐに分かるように線が引かれた 「杭」が建てられています。
芋川堰隧道の手前に「ホタル水路」が用水とは別ルートでつくられています、その水路には石積みの人工的な川岸があり、自然環境の保全に配慮されています。
用水の渇水対策として若宮地籍には、芋川用水と斑尾川の「はせ工作」がありました。これは、用水が斑尾川の下を石積みで囲まれた状態でくぐりぬけており、干ばつ時には用水上部の石積みを崩して、斑尾川の水を用水に落とす工夫がなされたものです(いまはありません)。
流末付近では用水が分岐し、一部は奈良本側に流れていますが、本流はその1キロ先で約100メートルの急激な落差を流下します。そこでは、連続するえん堤で流下水路の浸食を防いでいます。
この地域の自然の恵みとして、おいしい「赤塩米」があります。このおいしさは、 土地の土壌の質もさることながら、用水の水が長い距離を流れる間に太陽に温められ、もまれたものが田を潤すためだともいわれています。
そっと水田をのぞくとドジョウ、タニシ、オタマジャクシ、ヒル、ホーネンエビ、アメリカザリガニが遊んでいます。用水の管理道路を散策すると、春はヤブカンゾウ、ノビル、アケビの花、タンポポの花などの道草があり、秋には、ハナイグチなど茸や山栗、アケビ、サンカクツル、ツノハシバミの実があって、これを味わう「野性味あふれる自然体験」ができます。
たくさんある草花の中でも、代表的なものでは、山桜、コブシ、ウワミズザクラ、タニウツギ、カタクリ、ホタルカズラがあり、とくに「りんごの花とタンポポ」は見ごたえがあります。

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