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「東黒川の地蔵盆」ひっそりと受け継がれる盆踊り

「東黒川の地蔵盆」ひっそりと受け継がれる盆踊り

「〜飯縄山麓発〜白地図を夢色に」白地図をぬろう会/編著 より

飯綱町東黒川地区には、地区中央の小山の上に天白社があります。この境内の続きに薬師庵や大日堂、七観音、稲荷社があります。そして、それらのお堂の前に、胸の高さでの直径 83センチもあり、地元の方のお話では樹齢300年をこえるという見事なイチイの木が立っています。そして、イチイの木の根方に、高さ90センチの石の赤地蔵が祀られています。お地蔵様は元禄11年(1698)のものとのことで、お顔が赤色に塗られています。8月23日〜24日はお地蔵様の縁日にあたり、毎年この23日の晩には、赤地蔵とイチイの樹を中心に、その周りで盆踊りが行われます。 この地区では、盆踊りの会場準備は地区の公民館の役員さんが中心に行います。お地蔵様は子どもを守る菩薩でもあるので、当夜には大人向けの飲み物だけでなく、子どもたち向けのアイスクリームなどが用意されます。提対型の電灯だけのやや薄暗い照明の中で、灯明に照らされたお地蔵様を囲む盆踊りは素朴そのものです。夏祭りとは違って華やかさはありませが、逆に夏の終わりを感じながら踊る光景は、ひっそりした雰囲気の中にしみじみとした風情があります。
地蔵盆そのものは全国的に行われているもので、とくに関西方面で盛んな行事であるようです。他所では、縁日から日をずらし、その近くの土曜か日曜に行うこともあるようですが、この地区では年に一度の縁日に行うと決めているため、平日の夜になる年が少なくありません。また、雨天になってしまうと、延期するわけにはいかないので、その年は中止になってしまいます。このところの少子化のためか、以前よりも参加する子どもたちが少なくなったようです。そういった事情を考えると、この盆踊りを続けて行くこともそれほど簡単なことではなさそうです。 地域に受け継がれる文化の一つとして、これからも大事に守られていくよう願っています。

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