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「黒姫山麓」オオダルミへ向かう道

「黒姫山麓」オオダルミへ向かう道 「黒姫山麓」オオダルミへ向かう道

「〜飯縄山麓発〜白地図を夢色に」白地図をぬろう会/編著 より

県道36号線を戸隠牧場から信濃町方面へ下ると、かつて中部電力(株)の発電貯水池があった大橋のわきに駐車場があります。
そこに車を置き、県道から山道に入ります。木道が敷かれた林のなだらかな道を行くと、森の中にひっそりと「種池」があります。掌載の時には、この池の水を戸隠の神社に供えて雨乞いの神事が行われるそうです。
しばらく同じような道を行くと、種池よりも大きな「古池」があります。この池の水は、中部電力の発電用に使用されているため、池の周囲はよく整備されています。自然環境はよく保たれ、池の近くには湿原やお花畑があり、早春には白い花咲くミズバショウの群落が見られます。また高妻山周辺の山々を見渡すこともできます。6月の池の水際では、低木の枝に白い泡状の卵のかたまりが見られます。これはモリアオガエルという森林にすむ蛙の卵塊で、ときにはあちらこちらで一匹のメスに多数のオスが抱き付き、産卵をしている光景を至近距離で見ることができます。
古池からしばらく歩くと、急登の連続となり、途中オオルリのさえずりがにぎやかな小さな沢に出会い、冷たい水で元気をいただき、さらに進むと、黒姫山頂への道と目指すオオダルミへの道の分岐に出ます。ここで小休止のあと、一気にオオダルミへ向かいます。
苦しい登りの道も路傍の植物の観察に熱中すると、楽しみが先に立ちます。ショウキランやツマトリソウ、マイヅルソウの群落などが見られ、黒姫山一帯の豊かな自然が実感できます。一方で、山菜とりの季節には、過剰なタケノコ採取から竹細工用のネマガリダケを守るため、延々と山道にテープが張られ、監視小屋まであるのには驚かされます。
オオダルミ湿原は、それほど大きくはありませんが、自然のままの静かなたたずまいを見せてくれる湿原です。訪れる人が少ないためか踏み荒らしもほとんどありません。季節になるとミズバショウ、ワタスゲなどが見事です。背後に雄大な黒姫山をのぞみ、湿原を囲む森との調和も美しく、後世に残したい貴 重な財産の一つであると思います。

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